渡邊大志研究室    

チェス・ボード アーキテクチャー|CHESS BOARD ARCHITECTURE

2016/05/25 チェス・ボード アーキテクチャ|CHESS BOARD ARCHITECTURE EXHIBITION



5/18~5/21に開催された「ますいい建築圏」にてチェス・ボード アーキテクチャの展示を行いました。




展示の様子





設計プロセス



モックアップ



2016/05/25 チェス・ボード アーキテクチャ|CHESS BOARD ARCHITECTURE








2016/05/09 ますいいリビングカンパニー21周年展告知|MASUII LIVING COMPANY EXHIBITION ANNOUNCEMENT



【チェス・ボード アーキテクチャー】プロジェクト





「チェス・ボード アーキテクチャー」(「MAUI式」住宅1号)  日本の木造住宅の要は三尺六尺板と四尺八尺板に規格化された構造用合板である。それが現在の住宅市場の構造となっている。そこで新たな構造用合板の構法と独自の物流網も組織することを考えた。それらを「MASUI式」と名付けて社会に供給していく。  畳モデュールによるチェス空間の再現は明治期に西洋から思想ごと輸入せざるを得なかった日本の「建築」へのオマージュでもある。その折衷において「チェス・ボード アーキテクチャー」は従来の日本の住宅の歴史と構法を継承してはいるが、それが作り出す住宅世界は現在の住宅世界の外にある。



【ますいい建築圏マップ】



① 左右の個人資本(≒民間資金)と社会資本(≒公共資金)の海をつなぐ運河(キャナル)を、ますいいリビングカンパニーはまず掘削していきます。
② その運河の両岸に現在の世界状況、日本の住宅状況を表す3対のフィールド(敷地)を想定します。
③ 次に、運河にはそれぞれを渡す橋を建設します。
④ そうして得た地図の上にプロジェクトを建設していきます。





2016/04/20 ますいいリビングカンパニー21周年展出展、チェス・ボードアーキテクチャー|CHESS BOARD ARCHITECTURE










2016/04/07 ますいいリビングカンパニー21周年展計画|MASUII LIVING COMPANY EXHIBITION PROJECT


「About Chess Board Architecture」









2016/02/08 ますいいリビングカンパニー21周年展計画|MASUII LIVING COMPANY EXHIBITION PROJECT


「masui式のメソッド」






masui式の構成要素
1.河川を用いた小さな物流
2.住宅木材と職人の独自の在り方
3.それぞれの住宅のデザインが異なることへの独自のポジション
以上の3つの要素全てがそれぞれスケールを変えながら、増井さんのあらゆる仕事を構成していることを示す。

これを明示した上で、マップに次のような解説を付します。
・二つの大海(異界)を河川(小さなインフラ)がつないでいる。
・二つの大海(異界)にはどちらもますいいリビングカンパニーが居座っている
・二つの海と川の入り口にはそれぞれ異なる用途の木材を得ることができる森(右が広葉樹、左が針葉樹)がある
・それぞれの森からまず柱や梁となる建材を持ってくる。それを使って全てますいいリビングカンパニーの設計と指示のもとでプロの職人が家を建てるとmasui式住宅になる。
・住宅に個別のデザインがなされるのは、それぞれの河口における森と職人の違いに対して建主と設計スタッフが一体となってその都度最適の回答を出すためである。
・次に木材は河川物流によって中域にまで運ばれる。
・それには木材の余剰材を構造用合板に変えるファクトリーがあり、ここに運び込むまではプロの人間が行う。
・木材がこのファクトリーを出るときには構造用合板に変わっており、これは末端消費者(建主)が自由に購入することができる。
・さらに川を上流まで遡ると、あらゆる建材はインターネットで構法付きで自由に素人が手にいれることができるようになる(ホームレシピ)
・「チェスボード・アーキテクチュア」は以上の全ての現象を起こす枠組みそのものが唯一1つの形式に結晶化されたものであり、その意味でこのマップと「チェスボード・アークテクチュア」は全く同値な地図である。
・「masui式建築圏」の地図は、この二つのマップが並列された構図自体を1つの地図とみなすことで描かれる。
・そうして20 世紀の日本の住宅産業の枠の外に別の体系を作ることが、masui建築圏なのです。

つまりmasui式の三要素それぞれにスケールを与え、そのスケールの違いによって、100%設計施工の住宅になったり、半分はセルフビルドになったり、
究極的にはホームレシピになるという構図です。
そして、「チェスボード・アーキテクチュア」は唯一、masui式のあらゆる側面を1つのモノの中に見ることができるプロジェクトなのです。


2016年2月8日 渡邊大志



2016/01/22 ますいいリビングカンパニー21周年展計画|MASUII LIVING COMPANY EXHIBITION PROJECT


「チェスボード・アーキテクチャー」




 ますいいリビングカンパニー20周年記念展覧会にあたり、ますいさんと協同して意味のあるプロジェクトを1つ作ることにした。
 ますいさんは自分で設計デザインをする工務店であり、その多くは木造住宅である。年間20-100戸程度の中量の住宅供給能力を持っている。
 日本の木造住宅の要は規格化された構造用合板である。三尺六尺板と四尺八尺板の構造用合板の規格が、柱間や階高、間柱などの割り付けを規定し、ひいては住宅のサイズを決定する。日本の木造住宅には壁量計算による耐震性能の確保が建築基準法で義務付けられているが、ブレースに比較して構造用合板は2.5倍や5倍の壁量を貼り方によって有することができるというように定められている。
 現在の木造住宅における構法のほとんどが1950年代に東大内田研究室の系譜によって考案された。その要が木の土台を基礎に緊結する金属製のアンカーボルトと、これらの構造用合板である。
 1950年代当時の日本は未だ戦後の住宅不足の時代にあり、工業化住宅を含めて様々な住宅供給の仕組みが考案され、実行されていった。ハウスメーカーを含む現在の商品住宅の大半はその残滓である。
 個別のデザインを付加することによって中量の高質な木造住宅の供給を心がけてきたますいいリビングカンパニーの住宅ではあるが、その一方でその要は構造用合板であり続けている現実もある。
 構造用合板を用いた構法はそれだけ根本的な問題であり、しかも、その重要性にも関わらずこの70年近くの間、一間間隔の木柱の間を片面貼りするか太鼓貼りするかでしかの認定構法しか考案されていない。

 そこで、ますいいリビングカンパニーとの協同にあたり、認定耐震構法の提案を見据えた新たな構造用合板の使い方を提案したいと考えた。具体的には、構造用合板同士を溶着する接着剤などが重要になるだろう。
 こうして考えられた新たな構造用合板の構法を「MASUI式」と名付け、中量生産のための独自の物流網をも組織してみせる。それらの仕組みをパッケージとして、外部に輸出していく。
 私はドイツの「国民住宅」のように、1950年代に考案された日本の国土全体への供給を見据えた住宅供給システムにはヴィジョンがあったと考えているため、その歴史を踏まえていない住宅への考えに本質的な価値を見出すことができない。そのため構造用合板が作り上げた住宅産業の仕組みを受け入れた上で、その使い方にアイデアを出すことで現在の住宅産業の外に別の体系を作れないかと考えたのである。

 これもまた1950年代の同時代に、アメリカの建築家であるピーター・アイゼンマンが「カードボード・アーキテクチャー」というプロジェクトを作った。実現された住宅はわずかではあったが、カードボードという子供のお絵描きやメモに用いる厚紙をモデュールに見立て、それを彼特有の知性によって精緻に組み立てられた数学的理論を骨格とした建築的ヴィジョンであった。彼も若りし頃であったからそのスケールは住宅であり、ル・コルビュジェの思想へのオマージュと、アメリカのプラグマティズムが折衷していた。
 「チェスボード・アーキテクチャー」のアイデアはこのカードボードを構造用合板に置き換えて考えたものである。
 チェスは8マス×8マスの明確なフレームを持つヨーロッパから来たゲームである。戦場が枠で限定されている点が日本の碁と根本的に異なる。その歴史は碁と同様に重厚であり、歴史的な名局がいくつもある。その譜面をいくつかピックアップし、駒の配置やそれぞれの駒の動きを数字で表現する。その上で、その瞬間にだけXYZ座標に成立する立体を見立ててこれに当て嵌まるように三尺六尺板と四尺八尺板の組み合わせの公倍数で板を組んでいく。
 つまり、アラビア数字はヨーロッパから明治期にその思想ごと輸入せざるを得ななかった建築という概念へのオマージュであり、漢数字はそれに対して日本の畳の大きさから転じた構造用合板のシステムを表す、これもまた折衷である。
 「チェスボード・アーキテクチャー」はその折衷によって構築される点において、従来の日本の住宅の歴史と構法を引き継いでいるが、それが作り出す住宅世界は現在の住宅世界の外にある。

 それこそが「チェスボード・アーキテクチャー」の狙いである。

2016年1月22日 渡邊大志



2015/11/09 ますいいリビングカンパニー21周年展計画|MASUII LIVING COMPANY EXHIBITION PROJECT


「MASUI式」住宅生産システムの考察ーますいいリビングカンパニー20周年記念展覧会の計画ー






工務店機能を兼ね備えた設計事務所「ますいいリビングカンパニー」の20周年展覧会が、来春5月に催される。
ますいさんの工務店としての特徴は、生半可な建築家がやるような小洒落たデザインはアッという間に自分たちでできてしまうし、それを施工する能力を兼ね備えている点にある。
つまり、ますいさんには建築家は不要だし、ますいさんの家を買う人たちも、ますいさんの設計者としての側面に十分満足している。
その反面、ますいさん自身は日本の特殊な住宅生産事情に板挟みになっている。
つまり、設計施工という日本古来の大工制度からくる業態と、建築家という西洋からきたデザインfeeを対価として受け取ることの矛盾である。
その結果、多くの日本の工務店はデザインは営業努力であり、対価を受け取らない。もちろんそのデザインは私のように設計料だけで生きている生業の人間からはケチをつけたくなる類のものが多いが、ますいさんはその世界でもある程度の質を保つ能力を有しているのである。
その場合、住宅をデザインしつつ年20軒~中量程度供給するますいさんの明確な立ち位置が日本の近代には用意されていないことに気付く。
そこで本展覧会では中量生産中量消費の自立した設計施工と流通システムを「MASUI式」と名付け、それによってつくられる日本の住宅生産の地図を呈示する。
その点において渡邊大志研究室はますいいリビングカンパニーと協同することにした。
昨今の建築業界において既存の物流体制ではコストコントロールに限界があり、中小工務店が良質なものを安くつくっていくには改革が必要であると言われて久しい。
また職人の高齢化も深刻な社会問題となっており、ますいいリビングカンパニーも例外ではない。
「MASUI式」を具体的に考えるにあたり、剣持昤・規格構成材理論を民間の中小資本で実現していくことが最初の指針になる。
その上で、独自の流通経路として今は比較的弱い勢力となった河川運搬業に目をつけている。

2015.11.09
渡邊大志




物流と職人集団を持つ、工務店機能を兼ね備えた設計事務所に向けて

近年の問題点
これまで15年間工務店機能を兼ね備えた設計事務所を運営してきたが、職人の高齢化による人材不足の問題を強く感じるようになってきた。また、既存の物流体制の中ではコストのコントロールにも限界があり、良いものを安く提供するには更なる改革が必要となる。そこで、今後10年間の目標として、物流と職人集団を持つ、工務店機能を兼ね備えた設計事務所への飛躍を目指すものとする。
1. コストダウンにつながる新たな物流の可能性
① 木材市場との直接取引
→必要条件
・大量購入を義務付けられる。(材木の場合はパレット単位など、その場合材料の変形も問題となる。)
・倉庫の整備・在庫管理。
・小口運搬体制の確保とその経費。
→取り組み方
弊社は建売業者のように画一化された住宅を大量生産しているわけではないので、上記の条件を鑑みても部材調達のコストダウンにつながる項目のみを抽出して行う必要がある。
② ノーブランドの生産者から直接購入する造作材
・群馬県の唐松15㎜にて実施済み。市場価格の半額程度で仕入れ・販売。
③ 照明器具(個単位),クロス材(ロール単位),電気配線材,水道配管材を商社から購入。
④ 建材の輸入・・・石材・タイル等の仕上げ材。東南アジア、アフリカ製の建具。照明器具など。


2. 生産体制の整備
2-1.職人集団の育成
戦前まで、我が国の建築はすべて大工が建てていた。その子孫がゼネコンで、いまだに大林組のように「組」を名乗っている会社もあるほどである。東京大学の建築学科はもともと造家学科と称していたのだけれど、そこでは日本建築の授業は無く、後に建築学科と呼ばれるようになった。ここの出身者たちはもっぱら「官」の仕事ばかりをして、民間事業にはほとんど手を出さなかった。ましては住宅にはほとんど関知しなかった状態で、突然戦後の住宅ラッシュに突入したのである。
その後、世の中に建築家が大量に放出された。今では正直言って余っているほどである。しかしたくさんいたはずの大工さんが不足するようになってしまった。大工には学校が無い。これは徒弟制度が完備されていたからであり、教育制度を作る必要が無かったからである。大学の建築学科を出たものは現場の監督にはなっても職人にはならない。これが失敗だったのかもしれない。もしも早稲田大学大工学科なるものがあれば、きっと今でもたくさんの大工さんがいたであろう。
小学生・中学生に聞くと、大工さんになりたいという子は意外と多いということである。しかしながら、成長するにしたがって、建築職人になることなど選択肢の中から無くなっていく傾向がある。雨が降ったら仕事ができない、社会保険などが完備されていない、一人親方になるので生活の保障が無い、・・・こうした現実的な理由が成長と共にわかってくると、大工になりたいという気持ちも失せてしまうのであろう。それに上記のとおり、偏差値の高い学校に入ることが美徳とされる今の社会に、その欲求を満たす大工の学校は無いのである。これでは大工の数が増えるはずはない。ましてや少子化の時代である。名前を書ければ入れる大学がたくさんある時代に、好き好んでイメージの悪い職人の道を目指すはずなど無いのである。
僕はこういう状況を何とかしたいと思っている。大工さんでも、きちんとした会社で、生活も保証されて、しかもただの職人ではなくて現代の家づくりに必要な他の職種の技能を習得して、出来れば設計の分野までできてしまうようなスーパーな大工さんの会社を組織したい。こういうことは目標を定めないといつまでたっても先に進まないから5年くらいの目標にしていきたいと思っている。

2015.11.06
ますいいリビングカンパニー
増井真也




RIVER TO RIVER / The original housing supply MAP for Masuii Living Company

The project aims to create a map depicting the future endeavours of the Masui Living Company – a company that creates an interesting field between pre-fabricated houses and architectural influences.
New ways should be explored in the company's future and so the title „RIVER TO RIVER“ reflects the take on old Japanese river-shipping methods, incorporated into the prospective ways of Masui Living Company's idea under the umbrella-title: '100 houses for 1 year'.
The old idea of rice shipping will be the basis for a company map, using the network of wood as explanation of its unique style and method. In this sense, the river is not only the idea of a certain infrastructure but becomes also core element of the the company's future. From the very origin of the wood, its extraction, its transportation – the creation of the Masui houses are traced and shown in its very own „Masui Method“, following the idea of a prospective Union group, which will include wood producing companies, transportation companies and craftsman alike.
Based on an extensive research in the development of maps during the last centuries both in Europe and Japan, the map will also serve as a display for the company's method – the „Masui Method“ – and will inherit a manual for each part of the houses, built in the unique Masui Living Company style – keeping in mind, that the traditional Japanese craftsmanship needs to be maintained and passed on to future generations.
The map research is centred around the various ways of depicting dynamic infrastructures and should set up a toolbox to exploit the way corporate dynamics can be displayed in different ways.










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